創業するということは、どんなに小さな企業であっても大変である。顧客開拓や販売は思うに任せない、生産の効率もなかなか上がらない、メインの業務以外は初めてやることが多い、やり方を誰に聞いて良いかも分からない、やった結果がどうなるかも分からない、経営は安定せず時間やキャッシュフローに追いまくられる等々、その大変さは枚挙にいとまがない。それらは、経験してみないと実感できないものが多く、サラーリーマン時代に頭で考えていたものとは全く違うと言って良いほどである。

しかし、その大変な創業期を乗り切るエネルギー、頑強さ、柔軟性、学習のプロセスこそ将来に向けて発展する企業の基礎を築くものであり、それは創業者の夢から生み出されるものであろう。その創業者の夢、発想、やり方、性格は、自然と企業の体質に転化し、反映される。

そういう意味で、創業期のブランディングこそ最も重要でかつ効率が良いのである。大企業になってからのブランディングは、正直なところ実に効率が悪い。しかし、大企業病に犯されているがあまりにも組織が大きくなり過ぎて有効な打ち手がなかなか見つからないと言うときに、統合ブランド戦略は効果を発揮するのである。ブランディングの基本的な部分をやり易い創業期に固めておけば、少ない投資でその効果を先取りし、長い間継続して享受することができる。

大企業に比べればやり易いとは言っても、全く余裕がないのがベンチャー企業の創業期である。そのような時に、目の前の仕事をこなしながら、どのようにしてブランディングの基礎を固めて行くか。ここで、ブランディングの最も重要な側面がその一貫性・統合性であることを思い出して欲しい。一貫性を保つために、統合性を確保するために最も効率の良いやり方は、組織の最小単位、即ち創業者あるいは創業者に代わってやれる一人の人がまとめて考え、実行を担保することである。

そのためには、まず創業者は「どのような会社にしたいか」ということを、具体的なイメージや分かりやすい言葉で語らなければならない。これは難しくないように見えて、決して簡単なことではない。往々にして抱いているイメージが断片的であったり、場合によっては矛盾することも多いからである。しかし、いずれにしても、「どのようなブランドを確立したいか」と言うビジョンは、創業者自らが明確にしなければ事が始まらない。

次は、一定のブランディングの概念や方法論を創業者が自らの頭の中に入れておくことである。これは、何もブランド論を深く追求しようと言うものではない。その基本的な考え方や手法を理解しておくというレベルで構わない。要は、そのような考え方を身に基づいて、会社の様々なプロセスや機能のあり方、製品/サービスのあり方、普段の何気ない仕事の仕方を見たり、考えたりする時に、それらがブランドのビジョンと整合性があるか否か、その確立を助けるものであるか否か、ということを意識的、無意識的にチェックできるような発想を身につけることである。

要は、創業者が少しのブランディングに関する勉強をし、発想を身につけて、普段の活動に応用することができれば、それは創業者の中で「既に」統合されているのである。

ヴィブランドの英名VieBrandの略字VBは、実はVenture Business の頭文字をも重ねている。ヴィブランド自体が、創業期のベンチャー精神、企業家精神をいつまでも忘れないようにとの思いからである。企業の発展は、組織の拡大と肥大化との戦いとも言える。個人の目標と組織の目標が一体化していた創業期の原点を忘れずに、いつまでも両者を結びつけるのがブランド、即ちアイデンティティーである。


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