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CSR(Corporate Social Responsibility)とは、企業の社会的責任と訳される。個人と同様に社会経済の構成員としての企業市民の考え方や、SRI(Socially Responsibile Investment 社会的責任投資)の考え方に基づき、企業も社会的な責任を自覚せざるを得なくなってきた。
実はこのCSRは、ブランディングとその多くが重なっている。欧米に遅れて2000年の少し前から始まった最近の日本におけるブランディングの重要性に対する認識は、時代の潮流もあって自然にCSRの重要性に対する感受性につながっている。マスコミがブランドにつながる次のテーマとしてCSRを取り上げてきた面も否めないが、ブランディングと連続性のあるテーマであることには間違いない。
CSRとブランディングの重複には、現象面だけではなく、論理的な必然性がある。それは、ステークホルダー、即ち利害関係者や訴求対象者を誰と認識するかと言う問題と関係がある。ブランディングでは、一般にまず顧客、社員、株主が挙げられ、更に業種や企業の特性によってパートナー企業や地域社会が加えられる。
一方CSRは、サステナビリティーという言葉とも重なるが、その報告や評価の基準を見てみると、経済、環境、社会の三分野から成っているものが多い。例えば、GRI(Global Reporting Initiative)のサステナビリティー報告ガイドラインではパフォーマンス指標として「経済的パフォーマンス指標」、「環境パフォーマンス指標」、及び「社会的パフォーマンス指標:労働慣行と公正な労働条件」を挙げている。また、ダウ・ジョーンズのサステナビリティー・インデックスも「経済(Economic)」、「環境(Envirinment)」、及び「社会(Social)」の三分野の夫々複数指標から成っている。少し違った要素が加わったものとしては、国連のグローバル・コンパクトの10の原則があり、「人権(Human Rights)」、「労働基準(Labour Standards)」、「環境(Envirinment)」、及び「腐敗の防止(Anti−Corruption)」の四領域から成っているが、これは開発途上国での活動をも意識したものと言えるだろう。
いずれにしても、CSRとブランディングはそれらの対象分野・領域がかなり重なっており、CSRの活動を積極的に行っていることがブランディングを強化することになり、ブランディングを正しく行っているということがそのまま多くのCSR活動を行っているということになる関係にある。また、ブランディングが中長期戦略であるということは、CSRの別の表現とも言えるサステナビィティー(持続可能性)の考え方に通じるところがあり、またCSRは必然的にグローバルな考え方となっているが、ブランディングもグローバル企業においては世界的規模でのマーケティングやそのためのコストダウンという面を持っている。
このように、多くの重なりを持っているCSRとブランディングであるから、両者をバラバラに行うのではなく、効率よく組み合わせて進めるのが望ましい。まず、自社において両者の重複しているところと独自の部分を整理していくことから始めなければならないが、内容だけではなく、その推進体制にも注意を向けなければならない。
しかし、最も難しいが重要なことは、CSRを特別な活動として行うのではなく、如何に本業ビジネスを通じて、あるいはその領域で社会に貢献できるかということを徹底的に考え、実行することである。それこそが、最も大規模に、かつ継続的にCSR活動を行い、社会に対して最大貢献をすることになるからである。ブランディングも社会貢献的な部分は少なくないが、基本的には本業ビジネスの分野が主な活動領域となっている。要するに、CSRとブランディングを効果的・効率的にやって行こうとすると、必然的に本業、即ち企業そのものの存在意義を考えざるを得なくなる。ブランドは、裏返せば社会の中でのアイデンティティーである所以である。
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