国内企業同士の株式交換が可能になり、更に外国企業と日本企業との株式交換が可能になろうとしている等の関連法規の改正や投資ファンドの活動により、M&Aが業種を超えて、また国境を越えてますます増えようとしています。当然、ブランドの統合や有効活用が大きな問題となり、それへの取り組みがM&A自体の成否を分ける場合も出てきます。M&Aに関連したブランディングの具体的な問題としては、ブランド体系(ブランド関連用語参照)等のブランド戦略の問題と、統合後の課題としてのインターナルブランディングの問題があります。

ブランド戦略については事前の検討に含められているのが望ましいのですが、現実には事業戦略先行でブランド戦略については十分な検討時間がなく、事後になることもしばしばで、その結果としてブランド体系と現実の乖離が大きくなり顧客が混乱してしまうことが良くあります。将来を見据えたしっかりとしたブランド体系の考え方を持っていれば、新たに獲得したブランドをその中にすんなりと納めることも可能な場合が多いと思われますが、そうでない場合は拙速で処理せず、その機会にあるべきブランド体系の考え方を固めた上で、少し時間をかけて体系の確立を図っていくべきでしょう。

統合後のインターナルブランディングについては、セミナー、イベント等の一過性のコミュニケーションだけで終わらせるのではなく、また日本の同規模の企業同士の合併の際に見られる10年以上を掛けた人事統合のように超低速で進むのでもなく、実体変化を伴った中速度の統合推進が適切です。企業規模の差があって一方が他方を実質吸収する形の場合はやり易いですが、規模が近くなってくれば、新たに設定された共通の目標に向かって共に進化するというやり方で進めるのが理想です。ブランディングのあらゆる側面に共通することですが、変わるものと変わらないものを明確にし、両者の適度のバランスを図ることがここでも重要になってきます。

また、経営支配権を握っても事業統合の程度が低く、ブランド体系や内部統合の問題にすぐに直面しない場合でも、買収企業をグループブランディングの文脈で長期的にどのように位置付けていくのかを明確にする必要が出てくるでしょう。

逆に事業を切り放すときも、ブランド体系に大きく影響する場合があります。本業回帰のためにコアブランド(ブランド関連用語参照)の一部を切り離すということになれば、ブランドプロミス(ブランド関連用語参照)が影響を受ける可能性もありますし、また本来一つのブランドが異なる企業グループに分断されて統括コントロールできなくなるというような事態も起こり得ます。



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