ブランドやブランド戦略は身近なテーマであるため、一見分かりやすく簡単なものとして広く議論が行われていますが、現象面に囚われた、あるいはコミュニケーション面に偏った表層的なものであることも少なくありません。その本質や応用に関する議論は難しく、混乱を避けるためには基本的な言葉の定義から出発しなければなりません。

ここでは、ヴィブランドにおけるブランド関連用語の若干例について、簡単な定義や考え方をご紹介します。
■経営理念
企業・事業経営を行うに当たって基礎とする包括的な経営の目的、価値観、哲学などの基本的な考え方。概念的にはブランドの考え方を包含するものと考えられるが、実際に書かれているものがそうであるとは限らない。
■ブランド
企業、事業、店舗、商品、サービスなどに付けられた固有の名称やシンボルであるが、その訴求対象者毎に、機能的価値や情緒的価値を包含した独自の価値やイメージの広がりを想起させるもの。
■ステークホルダー
利害関係者。ブランドの文脈では、訴求対象者を指し、基本的な対象として顧客、社員、株主が挙げられるが、拡大すれば地域社会、学生、サプライヤー、フランチャイジー、メディアなども含まれる。その全体構造は、業種や企業により特有であり、複雑な場合もある。
■ブランド階層
ブランドが指し示す対象・範囲によって区別されたレベル。具体的には、最も基本的な階層として企業に対応したコーポレート(企業)ブランドと具体的な提供物である製品/サービスに対応したプロダクト(製品)ブランドがあるが、製品群や事業の多様化に伴って、それらの中間にビジネス(事業)ブランドやカテゴリー/ファミリー・ブランド等が垂直的な階層として発達する。その他にも、業種によっては店舗ブランド、催し等に対応するプロモーショナルブランド、特定のシステムや仕組みに付けられたブランド等がある。
■ブランドプロミス
ステークホルダーに対してブランドが約束、あるいは保証するもの。全ステークホルダーに対して共通しているものが分かり易いが、具体的に見ればステ−クホルダー毎に異なる項目が多い。また、明示的であるとは限らないが、ブランド体系の考え方においては、ブランド階層に応じて、プロミスも階層をなすことが望ましい。顧客に対するコーポレートブランドのプロミスを例に取れば、具体的な事業領域、差別化のポイント(「安全」等の保証的なものを含むが、差別化要素は必須)、パーソナリティー(製品やサービスの提供の仕方)の三つの要素から構成することが多い。
■コーポレートブランド
何らかの製品/サービスを提供している企業の名称やシンボルとして始まるが、保証や差別化等、単なる名称以上の意味や機能を有するに至ったもの。事業や組織が拡大・分化・多様化するに従って親企業の組織から遊離し、ブランドとしての独自の意味や機能を持つようになることに留意。即ち、消費者に対して(B2C)は一定の範囲の事業/製品を包含するものとして、社員や企業に対して(B2B)は一定の範囲の関連会社(グループ)を包含するものとして、多面的で異なる意味を持つようになる。
■ブランド体系
企業又は企業グループがその傘下に持っている企業、事業、店舗、カテゴリー/ファミリー、商品、サービスなどの様々な階層のブランドの全体構造・構成。特にコーポレートブランドとの関係性を中心にして議論されることが多い。顧客に対するブランドプロミスを構造化して反映させるのが基本であるが、事業や組織の多様化によっては、コアブランドを絞り込まなければならない等、難しい議論となる。ブランド戦略の柱となる重要な要素で、多面的かつ慎重に検討すべきである。
■コアブランド(反対はノンコアブランド)
ブランディング上、コーポレートブランドと積極的に関連付けて訴求すべき下層のブランド。ブランド体系の骨格を決定する。事業ブランドのレベルで言っている場合が多いが、ファミリーブランドや製品ブランド、プロモーションブランドなど、様々な場合があり得る。設定された、又は設定しようとしているコーポレートブランのプロミスを体現すべきブランド、あるいはコーポレートの遺伝子と目標が最も活きるブランドと言える。企業戦略上の位置付けとかなり重なっているが、ブランド戦略上独自の部分もあることに留意する必要がある。
■ブランドの実体
消費財などに関連してブランドのコミュニケーションで強調されることの多いブランドのイメージに対し、機能などの目に見える客観的な価値を反映するブランドの実質を指す。具体的には、顧客の選択・購買基準に即して吟味しながら考えていくことが必要である。ブランドのイメージはブランドの実体に裏打ちされたものでなければならない。
ブランドの機能・役割/ ブランド力の本質/ ブランドによる情報補填/ 情報特性によるブランド戦略の基本パターン/ ブランドによる選択の定量モデル(研究中)/ ブランド関連用語

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